2013/11/11 差別反対都庁前アピール

遅れて行った私が近づくと、ダンマクに人だかり。結構集まっている、と思ったが、見ると警官隊の山だった。たった一人の主催者女性を、警官隊が何重にも取り囲んでいた。その中で彼女は、一人でスピーチを続けていた。風が冷たかった。どれほどの圧迫感を感じていたことか、想像する事もできない。スピーチを代わろうと近づこうとしても、警官の壁に遮られて近づくことができない。押し分けて入ったが、あと5人で手が届かない。

その時に突然、周りを取り囲んだ警官が、砂が流れるように引いていった。リーガル・警備班の交渉が功を奏したのだ。同時に、私服刑事に対して「これを強制排除するなんて、絶対できないからね!」と言う鋭い声が飛んだ。振り向くと、音楽ライターの野間易通だった。

スピーチを聞きながら、1人の女性参加者が立ちすくんで涙を流していた。頬で涙が凍るほどの寒さの中で、彼女の涙は、止まることがなかった。そして現場には、もっとたくさんの人々の見えない涙が流れているように見えた。彼らがなぜそこにいるのかという理由が、立ち会っている警官の中にさえ浸透していくように思えた。

勤め帰りの青年がスピーチを始めた。自分たちが普通に暮らす市民でしかないこと、その市民が行動せずには居られなかったこと、親を殺す、親を犯すと言われたに等しい在日コリアンの子どもが、「もう慣れた」と彼に告げた事。そう言わせてしまう事。淡々とした語り口が、警官隊と抗議者との緊張を少し緩めた。一人の市民としての声が、聞く人々の心をとらえたのが見えた。それは彼らの目的とその方法と告げていた。何かを倒すためではなく、街角の少年の声の為に、人々の態度を変えようとしていた。

photo 島崎ロディ

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