朝日社説 1985と2015の比較

朝日社説 1985との比較
(2015.3.15調査)

1985年周辺について調べる必要もあり、また最近のマスコミの変化も気になったので、1985年と2015年の朝日新聞の社説を比較してみた。ちょっと摘んでみただけで立論するというほどのことでない。だが、めっちゃ違う。

まずタイトル。1985年の一つは「中曽根外交に改めて注文する」である。はっきりと、こうしろと注文しているのである。そして、自社の主張を展開し、首相に要求している。それが新聞というものである。「2・26事件から半世紀」のなかであげられている平和、経済、基本的人権については、加害性の認識が足りないといえるかもしれない。いまでは当時は意識されなかった日本の問題も沢山指摘できるだろう。しかし、それにしても、新聞がこう書くことができた時代だったと再認識させられる。

比較して、2015年は「施政方針演説 「戦後以来」の行き先は 」である。ここからしてどっちつかずである。そして、「首相が最後にめざすところをただし、問題点を明らかにするのは野党の役割だ」と野党任せである。

1985年の朝日の記事は、今なら差し詰め「偏向している」などと言われかねないだろう。しかし、そうではない。この時に朝日新聞の記事は、自分の意見を主張しながら、しっかりと中立性を保っている。報道機関における中立性の基準とは憲法にほかならない。

———-1985-6年 朝日———

●1985年10月17日 朝刊

(中曽根首相の国連演説をうけて)「中曽根外交に改めて注文する(社説) 」

… また、国連では「専守防衛に徹し、再び軍事大国にならない」と演説する首相が、レーガン大統領には「防衛力の整備にせいいっぱい努めている」と釈明する場面もでかねない。中曽根政権の防衛政策への懸念が国内でたかまっているのも確かだ。

首相はこんどの国連演説を、国際社会に自分の政治哲学、外交政策を総まとめ的に訴える機会と重視している。であれば、そこでの徹底した平和主義を座標軸にすえ、米大統領とも話し合うべきである。

その場その場での発言が、全体として整合性を持たなくなることはよくあることだ。相手の立場に配慮した誠実な対応が外交の基本である。靖国神社公式参拝への中国の反発なども、その苦い教訓であった。…

●1986年02月26日 朝刊

2・26事件から半世紀(社説)

…こうした社会状況といまの日本をくらべてみると、たしかにさまざまな違いはある。第1に、武力をもつ自衛隊は文民統制の原則により、政治的発言力を与えられていない。なによりも国民の間に「平和国家」意識が定着している。

第2に、経済の発展によって国民生活が豊かになり、貧富の差も縮小したことである。農地解放、財閥解体などの改革で、昔のような特権階級もいなくなり、社会的な平等感が拡大している。国民の9割ちかくが「中流意識」をもつに至ったことが、基本的に社会の安定をもたらしたといえよう。

第3に、言論の自由をはじめ基本的人権が憲法によって保障されていることである。また天皇を特定の勢力が政治的に利用することについては、世論のきびしい警戒の目が注がれている。

さらに海外への経済進出にともない、「世界の中の日本」という意識が広まったことも、戦前の日本との重要な違いであろう。一言でいえば、平和憲法に象徴される戦後改革は、かつてのクーデターやファシズムの温床を覆したのである。

だが、日本の民主主義体制の将来に心配は全くないと言い切ることはできない。

昨今、政治家に対する国民の失望感が強いのはなぜなのだろうか。政治倫理にしても、衆議院の定数是正にしても、政治は問題解決能力を示していない。…

———-2015年 朝日———

●2015年02月13日

朝刊 (社説)施政方針演説 「戦後以来」の行き先は

だとしても、改革には熟慮や合意形成への努力もまた欠かせない。きのうの演説で気になったのは、「国会に求められているのは、単なる批判の応酬ではなく行動だ」などと野党への牽制(けんせい)を繰り返したことだ。

それ自体は間違っていないにせよ、圧倒的な数を誇る首相が強調すれば、異論を封じてもやりたいことをやるという宣言と受け取られても仕方あるまい。

目先の改革への多弁さとは裏腹に、首相は集団的自衛権を含む安全保障法制や戦後70年を踏まえた「積極的平和主義」、そして憲法改正についてはあっさりと触れただけだった。公明党との調整が控えているからなのだろう。

首相が最後にめざすところをただし、問題点を明らかにするのは野党の役割だ。

昨年の衆院選をへて最大野党の民主党は執行部を一新、政権を批判する共産党も勢力を伸ばした。数の力に押されるばかりでなく、緊張感ある議論を通じて立法府としての存在感を発揮しなければならない。

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